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6/23 

朝から暑い。冷房が効きすぎている場所に行くのに、半袖シャツ一枚だけでは、肌を擦り合わせることになるかもしれないと思って、薄いパーカーを着てきたが、失敗だったかもしれない。
しかし自転車をこぐと、ぬるいなりにも、それなりに気持ちが良い風を感じることができて、そこまで不快ではなかった。
金物店の前に差し掛かると、側面の車道から、軽トラックが突っ込んできて、自転車の後輪を弾き飛ばした。僕の体はゼロコンマ何秒か宙に浮き、そしてアスファルトにキスをした。アスファルトは、すでに熱くなっていた。からだをしたたか打った。うっ、とうめく。半身が痛い。タイガースファンにけんかを売っているわけではなく、僕の右ひじと、てのひらには、うっすらとではあるが、すり傷ができていた。今年になって、初めて半袖を着た日に起こるイベントとしては、哀しいものがある。

横になったまま、それらの傷口、自転車のかごから飛び出したかばん、かばんから飛び出した携帯電話、さいふ、ノート、そんなものをぼんやりと見ていると、不意にかっとなり、悪態のひとつでも吐いてやろうかと、さっと立ち上がり、毅然とした態度を心がけ、軽トラックの中をのぞいた。軽トラックの運転手の中にいた中年の男性は、こちらを向いて、曖昧な表情をして、くっと唇のはじを上げた。なんという態度だろう?これが人を弾き飛ばしたときの態度だろうか?……ひどすぎる……そういえば、先ほど轢かれたとき、軽トラックは明らかに速度を上げていた……僕は、視界の端で加速する軽トラックを捉えていたのだ……。くるまに轢かれたことはこれが初めてではないし、もう少し高くからだが宙に舞い上がったこともあるが、加速しながらの車に弾かれたのは初めてのことだ。ついに恐れていた、劣悪遺伝子の積極的な排除が始まったのかもしれない。もしくは、自分の存在があまりにも虚無、空虚にひとしく、風景と同化しきっていたということも考えられる。何もない人間は、時として透明人間のようなものなのであろう。そうでなければ、加速しながら自転車に向かってくることなど、この法治国家で許されるはずがあるまい。

結局中年男性は何も言わず、軽トラックを駐車場のところへ運んでいった。僕も何も言わず、散らばったものを拾って、自転車をこぎだした。罵詈雑言を吐いてすかっとしてやろうと思ったことも事実だが、何か嫌なことを言い返されると嫌だなと思ったのだった。それに、何か言葉を発して、それでもなお無視に近い態度をとられることが怖かった。もしかしたら自分はすでに死んでいるのかもしれない。だから何もないかのように加速した軽トラックが突っ込んできたのだ……そんなことを考えた。彼のした曖昧な顔は、小動物を轢いてしまったときの顔のようにも思えた。上り坂になって、えいと立ちこぎをすると、がちりという嫌な音がして、自転車のチェーンが外れた。ペダルはからからと空回りした。ふざけるな!なんだって、こんな嫌なことばかり続くんだ!ふるい自転車を使っていたので、チェーンはいつ外れようとも不思議ではなかったかもしれない。けれど、タイミングがタイミングだったので、僕は、この災殃は、軽トラックに弾き飛ばされたせいではないかと考えた。ペダルは、後輪側が外れていたからだ。ちっと舌打ちをする。戻っている時間はない。だらだらと自転車を押していくと、制服に身を包んだ男女が、大勢向こうからやってくるのが見えた。先ほど通過した中高一貫校に通う学生たちだ。下を向いて、自転車を押していると、くすりと笑う声が聴こえたような気がした。顔を上げると、朝だというのに、仲良く手を繋いだ高校生の男女が目に入った。僕を笑ったのだろうか?恋人同士の、他愛のない会話のエッセンス……朝からとぼとぼと自転車を押して歩くみすぼらしい男……。

制服の一団の流れは、駅の近くまで続いた。駐輪場に自転車を停める。かごはずたずたに破れているし、ハンドルは男性器のように右寄りに傾いていて、初めて乗る人は自然と右に逸れてしまう、そしてなによりチェーンが外れて走ることができない。そんな自転車を盗む人間がいるとは考えにくかったが……。乗るはずだった電車はとうに出ていた。電車の窓には自分の姿が映っていた。途中駅で、若い女性が乗ってきた。今日は運の悪い日だ。そして、やつらは人生クラッシャーだ。僕はすぐに右手のひじの辺りに左手を置いて、無実をアピールできる状況にしておいた。警戒しておくに越したことはない。乗り換え駅に着いて、人波に押し出されるようにホームに出た。エスカレーターはとても混雑していたので、裏側の、階段しかないところに回りこむことにした。階段を2,3段登ると、右手をサラリーマンが駆け上がっていった。つられて足を速めようとした瞬間、足がもつれて、僕は前のめりに倒れた。スルーパスが出たときのフィールドのように僕は凍りついた。無様に転ぶのか。何人の冷たい視線を浴びるだろうか。しかし幸運なことに、咄嗟に出した右手で手すりを掴むことができた。同時に、僕のくつが、てんてんと階段の下に転がっていくのを、下向きの視界のはしっこで確認できた。最悪ではないが、実に格好の悪いことだ。恐る恐る、何人が後ろにいるのかを確認する為に振り返った。だが驚くことに、後ろには誰もいなかった。朝の、人が多い時間帯なのに。恥ずかしい、くつひもを踏んですっ転んだ姿を、誰にも見られなかったのだ。なんだ、今日は確かに最低のスタートだったけれど、悪いことばかりでもないな。僕は、少し気が抜けてしまって、早くくつを取りにいけばいいものを、ちんたらと階段を降りていった。僕は、少しばかり甘くみていた。失念していたのだ。このホームは2,3分ごとに、新しい電車が到着するということを……。
[ 2007/06/23 16:25 ] 日記 | CM(2)
あっぶないなぁ

でも状況的に金取れそうなもんなんだけどね
ナンバー控えて通報して、一矢報いる道もあったはず

まあ、気を付けなすって
[ 2007/06/23 16:55 ] d4X6GCCs [ 編集 ]
危ないですよね。
でも、ちんたら走りすぎていた僕が悪いのではないか、みたいなことも。
[ 2007/06/29 23:45 ] VINLGQBk [ 編集 ]
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